(3)寛永寺本坊 2

                                  



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   ● 上野戦争碑記

                                  



   ● 旧本坊表門・根本中堂 鬼瓦
        この鬼瓦は、現在「黒門」の通称で親しまれている、寛永寺旧本坊表門(国指定重要文化財)に据え
        られていたものです。
        旧本坊表門は寛永初年に、寛永寺の開山である天海大僧正自身が建てたものであり、天海自身を
        はじめ、いわゆる歴代の輪王寺宮が住まわれた場所の門でした。
        この門は、昭和12年現在の東京国立博物館の地から現地に移築され、平成22年から行われた解
        体修理によって修復されました。
        このときの調査により、現鬼瓦の制作年代は不明ながら、東側の「阿」形より西側の「吽」形が古い
        こと、かつては鳥衾(とりふすま/鬼瓦の上に長く反って突き出した円筒状の瓦)を接合する部分が設
        けられていましたが、現存の鬼瓦には鳥衾を取り付けた痕跡がなかったことが分かっています。
        東側にあった「阿」形は耐用年数を過ぎていたため、修復の折に西側に意匠を合わせて作り替え、
        新たな息吹を門に与えています。
        この修復を機会として寛永寺根本中堂の屋根にあった鬼瓦と合わせ、ここに展示いたします。
           旧本坊表門鬼瓦「阿」形   高さ113cm×横幅118cm
           寛永寺根本中堂鬼瓦     高さ248cm×横幅325cm       寛永寺 教化部

        



         



       * 旧本坊表門鬼瓦「阿」形   高さ113cm×横幅118cm

                          



                  



       * 寛永寺根本中堂鬼瓦     高さ248cm×横幅325cm

                          



   ● 増山雪斎博物図譜関係資料 虫塚碑 (都指定有形文化財)
              台東区上野桜木1丁目14番11号 寛永寺境内
        虫塚は伊勢(現、三重県)長島藩主、増山雪斎が写生図譜である「虫豸帖(ちゅうちじょう)」のの作
        画に使った虫類の霊をまぐさめるため、雪斎の遺志によって文政4年(1821)に建てられた。
        増山雪斎は、宝暦4年(1754)に江戸で生まれた。
        本名を正賢といい、雪斎・玉園・蕉亭・石 道人・巣丘隠人などと号した。
        江戸の文人大田南畝(なんぽ)や大阪の豪商木村兼葭堂(きむらけんかどう)など、広く文人墨客と
        交流を持ち、その庇護者としても活躍した。
        自ら文雅風流を愛し、清朝の画家、沈南蘋(しんなんびん)に代表される南蘋派の写実的な画法に
        長じ、多くの花鳥画を描いた。
        中でも虫類写生図譜「虫豸帖」(都指定有形文化財、東京国立博物館所蔵)はその精緻さと本草
        学にのっとった正確さにおいて、殊に有名である。  文政2年、66歳で没した。
        虫塚は当初、増山家の菩提寺、寛永寺子院勧善院内にあったが、昭和初期に寛永寺に合併され
        たため、この場所に移転した。
        勧善院は、四代将軍徳川家綱の生母で、増山氏の出である宝樹院の霊廟の別当寺として創建さ
        れた。
        碑は安山岩製で台石の上に乗る。
        正面は、葛西因是(かさいいんぜ)の撰文を大窪詩仏(おおくぼしぶつ)が書し、裏面は詩仏と菊池五
        山(きくちござん)の自筆の詩が刻まれており、当時の有名な漢詩人が碑の建設にかかわったことが
        知られる。       平成25年10月    台東区教育委員会

                          



   ● 慈海僧正墓(じかいそうじょうはか/都旧跡)  台東区上野桜木1丁目14番11号  寛永寺
        墓石の表面中央に、聖観世音菩薩の像を彫り右側には「当山学頭第四世贈大僧正慈海」左側に
        「山門西塔執行宝園院住持仙波喜多院第三世」、背面に「元禄6年癸酉2月16碑寂」と刻む。
        慈海僧正は、学徳をもって知られ、東叡山護国院、目黒不動尊、比叡山西塔宝園院、川越仙波喜
        多院を経て東叡山凌雲院に入った。
        東叡山は、寛永寺一山の山号で、一山を統轄、代表する学頭には凌雲院の住職が就任することを
        慣例としたという。
        学頭は、また門主・輪王寺宮の名代をつとめうる唯一の有識者であり、学頭の名のとおり宮や一山
        の学問上の師でもあった。
        滋海版として知られる「法華経」「薬師経」の翻刻や「四教義算注」「標指鈔」三十巻の著作がある。
        寛永元年(1624)目黒で誕生。70歳で没した。
        没後、公弁法親王の奏請によって大僧正の位が贈られた。
        墓は、初め凌雲院内にあったが、昭和33年東京文化会館建設のため寛永寺に移った。
                       平成4年11月   台東区教育委員会

                                      



   ● 尾形乾山募碑・乾山深省蹟(けんざんしんせいせき)  台東区上野桜木1丁目14番11号 寛永寺
        尾形乾山 は、琳派 の創始者として著名な画家・尾形光琳 の弟である。
        寛文3年(1663)京都で生まれた。
        乾山のほか、深省・逃禅・習静堂・尚古斎・霊海・紫翠の別号がある。
        画業のほかにも書・茶をよくし、特に作陶は有名で、正徳・享保年間(1711〜1735)、輪王寺宮公寛
        法親王に従って江戸に下り、入谷に窯を開き、その作品は「入谷乾山」と呼ばれた。
        寛保3年(1743)81歳で没し、下谷坂本の善養寺に葬られた。
        しかし、月日の経過につれ、乾山の墓の存在自体も忘れ去られてしまい、光琳の画風を慕う酒井抱
        一の手によって探り当てられ、文政6年(1823)、顕彰碑である「乾山深省蹟」が建てられた。
        抱一は江戸琳派の中心人物で、文化12年(1815)に光琳百回忌を営み、「光琳百図」「尾形流略印譜
        」を刊行、文政2年には光琳の墓所を整備するなど積極的に尾形兄弟の顕彰に努めた人物である。
        墓碑及び「乾山深省蹟」は、上野駅拡張のため移転した善養寺(現、豊島区西巣鴨4-8-25)内に現存
        し、東京都旧跡に指定されている。
        当寛永寺境内の二つの碑は、昭和7年、その足跡が無くなることを惜しむ有志により復元建立された
        ものである。
        その経緯は、墓碑に刻まれ、それによると現、善養寺碑は、明治末の善養寺移転に際し、両碑共に当
        時鶯谷にあった国華倶楽部の庭へ、大正10年には公寛法親王との縁により寛永寺境内に、その後、
        西巣鴨の善養寺へと、三たび移転を重ねたとある。
          なお、入谷ロータリーの一隅に「入谷乾山窯元碑」がある。  平成11年3月 台東区教育委員会

     *(左/乾山深省蹟)・・(右/尾形乾山募碑)

                       



   ● 了翁禅師塔碑(りょうおうぜんじとうひ) 東京都指定旧跡
           所在地 台東区上野桜木1-14-11 寛永寺内
           標識  昭和5年6月2日    指定  昭和30年3月28日
        了翁禅師(りょうおうぜんじ 1630-1707)は、江戸時代前期の黄檗宗(おうぼくしゅう)の僧です。
        俗姓は鈴木氏。出羽国雄勝郡に生まれ、幼い頃から仏門に入り、後に隠元禅師に師事します。
        諸国を巡るうち、霊薬の処方を夢に見て「錦袋円(きんたいえん)」と命名し、不忍池付近に薬屋を俗
        甥の大助に営ませます。
        その利益で難民救済や寛永寺に勧学寮(図書館)の設置などを行いました。
        こうした功績により輪王寺宮から勧学院権大僧都法印位を贈られています。
        宝永4年、78歳で没し、万福寺塔頭天真院に葬られました。
        本碑は了翁禅師の業績を刻んだ顕彰碑で、生前に作られたものです。
        元々建てられた場所や、現在の場所に移築された時期などは不明です。
                  平成24年3月 建設 東京都教育委員会

                     



                                 



                          




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