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<< (8)山田家住宅−→(9)野原家住宅 >> ● (8)山田家住宅 白川村合掌造の特徴を備える五箇山の合掌造 指定区分:神奈川県指定文化財 旧所在地:富山県南砺市桂(かつら) 建物区分:農家、合掌造 構造形式:切妻造、一重三階、茅葺、桁行14.9m、梁行9.5m 建築年代:18世紀初期 五箇山の最奥に境川をはさんで向き合う二つの集落がありました。 この川は県境となっており、岐阜県側を加須良(かずら)、富山県側を桂(かつら)といいます。 ダム工事の完成とともに桂は湖底に沈みましたが、かつてこの集落にあった全五戸のうちの一 戸がこの山田家です。 五箇山(ごかやま、富山県)にありながら白川村(岐阜県)に通じる特徴があり、合掌造の地域性 を考える上で重要な民家です。 居住部は四部屋に分かれています。 日常生活で中心となるのは囲炉裏のあるオイエです。チョウダは寝室、日常の客間はデイ、ブ ツマ(仏間)を設けたオマエは正式な座敷でした。 土間の奥の低い板の間はウスナワという台所兼作業場で懸樋(かけひ)で水を取り入れた流し が設けられています。 ○ 入口を入ると土間になり、その先が「うすなわ」です。 ○ うすなわ・・・食事の準備・室内作業をする所 流しには懸樋(かけひ)で水を取り入れています ○ でえ・・・客間 ○ おいえ・・・日常生活で中心となる囲炉裏のある部屋 ○ ちょうだ・・・家族の寝室・物置 ○ おまえ・・・お客をもてなすところ・仏事をおこなうところ ○ ぶつま(仏間) ○ そとべんじょ(外便所) この建物は旧山田家の外便所を再現したものです。 柱や梁には新しい材料を使っていますが、屋根の骨組みは現地の物を再用しています。 小さい建物ですが、屋根の作り方は普通の合掌造り民家と変わりません。 なお、規模や住宅との位置関係は現地にあった時と同じです。 ● (9)野原家住宅 曲がりの鋭いチョウナ梁が見事な家 指定区分:神奈川県指定文化財 旧所在地:富山県南砺市利賀村利賀 建物区分:農家(組頭の家)、合掌造 構造形式:切妻造、一重三階、各面とも庇付、茅葺、桁行17.5m、梁行10.6m 建築年代:18世紀後期 庄川支流の利賀谷(とがだん)にあった野原家は、同じ五箇山でも他の地域とは間取り等に違 いが見られます。 庄川本流系が「妻入(つまいり、棟と直角の面に出入口がある様式)」「四間取り」であるのに対 し、この家は「平入(ひらいり、棟と平行の面に出入口がある様式)」「広間型三間取り」となって います。 土間部分は手前がウマヤ、奥が台所兼作業場のニワです。 建物正面側の細い通路は外便所に通じていました。 日常生活の中心となるオエには二つの囲炉裏があり、建物正面側には米つき場があります。 天井には巨大な梁が通り、ここから曲がりの鋭いチョウナ梁が前後に掛け渡してあります。 ザシキの奥には仏壇を安置したブツマがあり、仏事の際にはザシキとあわせて使われました。 ○ 正面入口から入ります。 (左/正面から)・・(中/入り右側)・・(右/右入口から) ○ まや(馬屋/うまをかう) 渡し籠(わたしかご) この上に展示してあるものは「渡し籠」といい、谷から谷へと人間を渡す籠です。 越中五箇山の庄川筋に明治初め頃まで使われていたもので、谷を渡って行き来できる唯一の 交通手段でした。 *(中/シコミダル)・・(右/ソリ) イシカチ(ケヤキ製) イシカチ(建物の基礎石を据える行事)のとき、石を打ち込む撞木の上端にこれを取り付け、最 後に切り落とす。 村人たちは、これを縁起物として奪い合った。 屋根綱 屋根に下げておき、修理や雪下ろしで上るのに使用した。 *(左/イシカチ)・・(中/屋根網)・・(右/クワカゴ) ○ おえ 日常生活の中心となり、二つの囲炉裏があり建物正面側には米つき場があります。 ○ ざしき(客間) ○ ぶつま(仏壇をまつる部屋) 仏事の際にはザシキとあわせて使われました。 (画像をクリックすると、大きくなります) ● (入口へ) ● |