<< 展望展示室−→展示ゾーン >> ● 各町内自慢の山車写真が展示されている階段を上り2階へ。 ● 展望展示室 展示されている2台の山車を展望ガラスから眺められます。 山車よりも高い位置からの眺めは、大人形の足元まで見ることができます。 (左画像/伊弉那岐尊(田宿))・・・(右画像/日本武尊(北横宿)) ● 展示ゾーン(山車彫刻は、毎年入れ替えられます) 日本三大囃子のひとつ「佐原囃子」の演奏に使われる楽器や、日本芸術史屈指の名工が手がけた 関東彫りの山車彫刻が展示され、佐原の「江戸優り文化」について触れることができます。 * 彫刻師 佐原の山車を彫り物で飾るようになったのは、嘉永年代(1850年代)の頃からです。 彫刻師は、ほとんどが江戸の職人でした。 江戸時代の彫刻師としては、後藤茂右衛門正綱、後藤茂右衛門正忠、立川録三郎、石川藤吉、 石川常治郎、石川寅次郎、石川三之助らが、佐原の彫り物を彫っております。 明治年代には、小松重太郎、後藤直政、大正年代には、後藤桂林らが名作を遺しております。 * 中宿区の山車額 「豊煙」の文字は、幕末の儒学者柳田貞亮の書。正斎と号す。 佐原の生れ、昌平に学び、のち神田お玉ヶ池に住み子弟を教導した。 正斎の子の泰麓。泰麓の子の泰雲とも日本の書道界の第一人者的存在である。 回りの彫刻は、昭和の名工・木島江運の作である。 木島江運は東京柴又帝釈天の「三車火宅図」も彫っている。 * 鐘馗の刀剣(中宿区の山車人形) * 中宿の玉簾 玉簾は山車の正面を飾るため、各町とも工夫をこらした。 中宿では大正11年に飾物を「桃太郎」にしたため、「荷車に宝物」の図柄で玉簾を制作した。 作者は坂本桃淵の子の桃虎である。 * 下宿区祭礼万控帳 * 宮大工 神社や寺院を主に手がける大工棟梁を宮大工と呼んでおります。 山車は、本来移動する宮座ということで、江戸時代には宮大工が製作に当りました。 社寺建築は、材料に欅や樫などの堅木を使うので、特に、道具は優れたものが求められました。 岡野家は、十五代も続いている宮大工です。 とくに五代岡野治富は宝暦5年(1755)に、十代岡野重好は天保11年(1840)に、香取神宮宮司よ り兵部職の称を授けられました。 この岡野重好は、上中宿山車を嘉永2年(1849)、寺宿山車を嘉永3年(1850)、仁井宿山車を嘉永 5年(1852)に製作しています。 明治年代になってからは、山車の製作は町内出入りの大工棟梁によって作られるようになりました * 下川岸区 山車彫刻 製作者/不詳 製作年/江戸時代 文久年間 彫 物 欄 間/日本神話 天岩戸開き 方立/神武東征 蕨手/神武の久米歌 * 重要無形民俗文化財指定証書 第397号 佐原の山車行事 佐原山車行事伝承保存会 文化財保護法第56条の10の規定により重要無形民俗文化財として平成16年2月6日文部 科学大臣により指定されました。 平成16年2月6日 文化庁長 河合隼雄 * 上新町区の山車額 * 人形師 佐原の山車人形は、昔は町内で工作の上手な人が工夫をこらして作っていました。 明和7年(1770)の伊能家文書に、「寺宿きくこねこ、下仲町とら、浜宿たかつ桜、田宿こいのたきの ぼり、上仲町舟屋台、八日市場御神楽、川岸みこまい、橋本さかほこ、荒久すもふ、下寺宿さるの だし」とあります。 いまでも仁井宿の鷹や八日市場の鯉の飾り物に、この遺風が残っています。 江戸時代の末になると、江戸の人形師により飾り物が作られるようになり、その後各町は、名人上 手と名の高い人形師に製作を依頼して、豪華さを競い合いました。 * 佐原囃子 山車には、大太鼓1名、小太鼓1名、大鼓1名、小鼓4〜5名、笛4〜5名、すり鐘1名で編成した下 座連が乗り、囃子を奏します。 佐原囃子は、里神楽囃子を基に、江戸時代に発達したもので、千葉県無形文化財に指定されてい ます。 昔は農家の長男に限って伝承されてきましたが、今は広く愛好家によって受け継がれています。 佐原囃子の曲目は、役物、段物、端物に大別されています。 役物では、山車の引き出しと、引き仕舞いに奏される「さんぎり」・「馬鹿囃子」、曲り角通過時には 「はな三番叟/さんばそう」が奏されます。 段物とは、大太鼓の入らない荘重な曲で、「吾妻/あずま」・「八百屋」・「お七」・「神田」等です。 流行歌、民謡など歌のある曲を端物といい、「あんば」・「大漁節」・「船頭小唄」・「ラッパ節」等がよ く奏されます。 * 指定書 千無第十号 佐原囃子 佐原囃子保存会 千葉県文化財保護条例い基き 右を千葉県指定の無形文化財として指定する 昭和30年12月15日 千葉県教育委員会 * 笛造師 お囃子の中の花形ともいえる笛の多くは、下座連の中の笛の名手として名をはせた人々が作りま した。木戸の鈴木屋、大崎の鈴木寛治、椿荘次、先代の菅井與左衛門、篠塚初太郎等です。 いまも笛作りに励んでいる舟戸町の岡野全一郎は、従来、口伝で伝承されていた佐原囃子を音 符化して、「佐原囃子集成」を作った編者の一人で、佐原下座連の結成にも力をつくした笛吹きの 名手でもあり、作った笛は、遠音に響くといわれています。 笛は、篠竹に穴をあけ、律をとって作ります。 音の微調整の後、漆(叉はカシュー)を塗り、藤を巻いて仕上げます。 * 太鼓師 お囃子の中の太鼓には、大太鼓、小太鼓、大皷、小皷と、さまざまな種類があります。 佐原の太鼓は、江戸時代から谷中で造られており、今も東太鼓店と松本太鼓店があります。 太鼓は、欅の木の中をくりぬいて造った胴に、牛皮を一杯に張り上げて、鋲を打って造ります。 太鼓の音色は、皮の質と張り具合によってきまります。 * 太鼓(おおかわ)の「ばち」 寄贈者 佐原市加藤洲 606−1 清川 孫之(作) 平成14年12月1日 * あらまし 佐原ばやしでは、笛、大太鼓、小太鼓、大皷、小皷、鉦と六種類の和楽器を使用しますが、中でも 小皷の取扱い方が、一番難しいと謂れます。 この小冊子「佐原ばやしに於ける小皷」は、小皷を解体絵図し、それぞれの部品的名称と各々の 持つ機能を解説、叉表革とウラ革(材質と手入れ)・調緒のかけ方(縦調べと横調べ)、小鼓の音の 取り方・打ち方・その他細かく解説してあります。 編集者/久保木久男 監修者/石毛初太郎 広川邦夫 表紙字/小川朝江 平成七年五月吉日 * 小鼓の胴 胴の材料は、桜の木が多く使われています。 この左右の胴は、樹齢150年ものの、桑の木を素材にした珍しいものです。 右・・・銀の高蒔絵を施した文様 左・・・桑の木目をそのまま活かしたし生漆を施したもの 寄贈者 佐原市佐原ィ3353 久保木久男氏 (画像をクリックすると、大きくなります) ● (入口へ) ● |